Aug. 2025 「時の標本室」

「時間」と「古いもの」を閉じ込めた【時の標本室】。
9月後半に行われる年内最後の企画展です。
吉祥寺にある時計店 atelier coinさんが、様々な定番作品に加えて、僕が見てきた旅の情景をモチーフにしたオリジナルの文字盤を。
そして入間市にあるパンとおやつとスープのお店 Noufuさんが、「発酵(=時間)」を軸に、この企画ならではの美味しいものを。
今年は随分と企画展が続いているものだから都度異なる空間を創り上げる難しさを感じていますが、次回も3者の個性が織りなす特別な9日間になりそうです。
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atelier coinの大護さんが手掛ける腕時計を購入したのは僕が店を始める前だったか。
もう随分と長いこと使い続けている事になる。
当時から「格好良い腕時計がある」と、仲間内でもよく噂になっていたものだ。
これを身に付けて、色々な場所へ出掛けた。
その分だけ、自慢の時計には共に過ごしてきた沢山の記憶も宿っている。
今回のメインとして登場するのは、atelier coin「Time pieces」シリーズの新しい試みとしての本企画限定特別エディション。
石の断面を景色と見立てて愉しむ「風景石」から着想を得て、これまで旅先で僕が撮影してきた写真を一点モノの文字盤として表現してくれます。
腕時計の中に閉じ込めた、特別な景色。
写真と共に、約20種類ほど並びます。
その他にも、定番の腕時計、置き時計や砂時計、オブジェなど多くの作品展示に加え、在廊日にはカスタムオーダー会も行う予定です。
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(下記、Noufuさんより)
【循環と再生】
「時計が正確な時刻を指し示す標であれば、“道を示す”という意味のパンのかけらを次の新たなパンの一部とし、時の循環と再生に祈りを込めたパンを焼く。」
今日のパンが明日のパンの糧となるそんなパンづくりがしたいと思いました。
小麦粉に熱湯を加えて捏ね、一晩寝かせてから生地に加える湯種製法は生地の旨味や保存性を高める素材の力を引き出す製法です。
そのやり方にならい、小麦粉ではなくパンのかけらを使用し新たなパンを焼いてみようと思います。
角度を変えたパンの再利用の方法を探る中で新しい価値を生み出すことができれば、それはパンの標本のようなものになりうるのかなと思いました。
「今日のパンをよりよい明日につなげる」
「時間が経つということは喜びや幸せが膨らんでいくということ」
まだまだ試作中のものもありますが、本企画に想いを寄せ、時計に因んで12種類のラインナップでお届けいたします。
■ Noufu 会期中のラインナップ
1. “道標” 「みちしるべ」
”Pain paysan” パン ペイザン
湯種製法を用いた、香ばしくもしっとりとした大きめなパン。
2. “傍“ 「かたわら」
“Rugbrod” ロブロ
旅の傍にいつもそっと寄り添うような素朴なライ麦100%の黒パン。
3. “幾星霜” 「いくせいそう」
“Couche” クーシュ
何層にも重なったショコラクロワッサン生地。
雪にさらし、その後3年間熟成させてできるかんずりとチョコレートを合わせて。
4. “郷里” 「きょうり」
“Campagne” カンパーニュ
旅をするということは帰る場所の大切さを再確認できること。
地粉を使いホッとできるパンに。
5. “季節のシュトレン洋なし“
6. ことりのベーグル (ことりの形にあしらったベーグル )
7. 季節のウィークエンド洋なしキャラメル
(洋なしをキャラメルソテーしたパウンドケーキ)
8. ビスケット (きなこが入った素朴な瓶入りビスケット)
9. 紅茶のアネット(ミルクティーカスタードの帽子パン)
※9/27、9/28のみ
10. シナモンロール
※9/27、9/28のみ
11. ジュレック
※9/27、9/28のみ
12. 生ハムのカスクート (生ハムと薄切りバターのバゲットを使用したサンドイッチ)
※9/27、9/28のみ
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(会期を終えて)
「時の標本室」。
最終日の終了間際まで駆け込みで来てくださる方々もいて、程良い流れのまま終えることができました。
随分と温めてきた企画だったので、終わってしまうとやはり寂しくなるものです。
この日のために準備してくれた時計やパン。
空間との相性の良さを感じましたし、良いチームだったな、と。
ずっとここで一緒に働けたら良いのに、、、なんて事を考えてしまいますが、そうもいきません。
其々のお店で成長を続け、また何かの形でご一緒できることを願っています。
毎度扉を開けてくれる方も、初めての方も、そして遠方にお住まいでなかなかご来店が難しい方も、想いを寄せてくださりありがとうございました。
随分と多かった企画展も、暫くはお休み。
今年は鞄や財布、香り、動植物、衣類、時計と続きましたが、お楽しみいただけたでしょうか。
その分、多くのご縁に恵まれた素晴らしい機会となりました。
振り返ってもどれもが愛おしく、惜しむことなく情熱を注ぐことができたかと思います。
次は半年後くらいかな?
その間もイベント出店やコンテナ到着などを予定しているので、きっとあっという間ですね。
この身体が動く限りは、この店ならではの表現を続けていけたら。
また色々なところへ旅をして、感性を磨いてきます。
【時の標本室】
心の奥底に眠る遠い記憶の欠片たち。
歳を重ねるごとに記憶は色褪せ、
季節が巡るたびに想いは色濃くなる。
人生と歩みを共にしてきた「時計」という道具は、
ときに眠っていた景色を呼びおこし、断片的な想いを紡ぐ。
それは時間を示す以上の役割を担っているのかもしれない。
私たちはどうしたって時間に制御され、
その流れの中に閉じ込められている。
人の記憶ほど、不確かなものはない。
だからこそ、時計を見つめ、過ぎ去った日々を思うとき、
それらがいかに美しく尊いものであったかと気づく。
そして、進み続ける秒針にこれから歩むべき道を見る。
「時間」と「古いもの」を閉じ込めた【時の標本室】。
それは追憶と未来を照らす灯。
香ばしい香りのパンを鞄に携えて、時の旅へ。
会期 : 2025年9月20日(土)- 9月28日(日)
時間 : 11:00-18:00
会場 : MANSIKKA antiques
(東京都青梅市冨岡2-538-1)
atelier coin / @ateliercoin
Noufu / @noufu.pain









































