消えゆくような真っ白い雪景色の中を歩く、赤い服を身に纏った女の子。
まるで絵本の世界を覗いているかのようなその優しく繊細な筆先に、瞬時に目を奪われたのをよく憶えている。

今や共同企画は珍しくないし、自分の店でそれを行う事にあまり積極的ではなかった。
ただ作品を展示するのなら、何も真冬に辺鄙な山奥にある倉庫に手を加えたこのお店でやる必要はない。
素敵なギャラリーはいくらでもあるのだし、ここでは作品が100%生きるとも言い切れない。

それでも僕は、彼の絵を古いものが集まる空間で冬に飾ってみたいと思い描いた。
2つの感性が合わさった時、きっと面白いものがつくれるのではないかと、そう感じた。

Jun Sasakiとの企画展。
来たる12月に、いよいよ実現する時がきた。

寒い12月の店内。
週末には川越市のPiENi KöTA(ピエニコタ)が温かい飲み物を淹れてくれる。
彼女に声を掛けたのも、やはりどこかJun Sasakiの世界感に相通ずるものを感じたから。

訪れてくれた1人1人に、一年の締めくくりに良き時間を過ごしてもらえたら嬉しい。
心の片隅にいつまでも残るような空間を、丁寧に創り上げられたらと思う。
繰り返しになるけど、決してアクセスの良い立地ではない。
どれだけの人が来てくれるかも分からない。
でも、きっと。

さぁ、ノスタルジックに浸ろう。